離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

 マウスを操作して、パソコンをシャットダウンしていると。


「俺は、富樫さんひとり残してもおけないから」


 滝沢さんがそう言って、私は驚いて顔を上げた。


「あっ、すみません! 私のせいで」
「いやいや、ついで。瀬名と飯でも食いに行こうかと思ってたし」


 ついで、とは言うけれど、きっと違う。私ひとり残るのを心配してくれていたらしい。気を使わせてしまった、と眉尻を下げていると社長が「ああ」と声を上げた。


「ああ、じゃあ富樫さんも一緒に行くか。何か食べたいものある?」


 と言って、私にもお誘いをかけてくれた。けれど、滝沢さんが瀬名さんを待っていたというなら何か話があったのかもしれないし、友人同士のおふたりについていくのも、気が引ける。ここは遠慮するべきだ。


「いえ、私は。お気遣いありがとうございます」

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