離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
パソコンの画面が暗くなるのを確認すると、デスクの上に出ていたスマートフォンと筆記用具を通勤用のトートバッグに入れる。そこに再び、お誘いの言葉をいただいた。今度は滝沢さんの方から。
「行こうよ。富樫さん、酒飲める方?」
「付き合い程度ですが……じゃあ、ちょっとだけお邪魔してもいいですか?」
一度は遠慮するべきだけど、断る理由もないのに頑なになるのもな、と思い二度目は素直に頷いた。本当に、ただそれだけの理由だ。それなのに、社長が恨めし気に目を細めて私を見る。
「富樫さん、俺の誘いは断るのに滝沢が誘ったら来るんだ……」
「ええ? そんなつもりでは……」
「俺にだけ塩対応過ぎない?」
め、めんどくさいな! だって、社長とふたりで並ぶと、なんだか注目浴びて嫌なんだもの、ほんとにどこにいても目立つ容姿してるから!
社長はあからさまに拗ねたような顔でそう言って、滝沢さんがそれを見て笑う。塩対応だなんだと言う割には、社長は私のそんな態度が、かえって気が楽らしかった。
それくらいは、なんとなく空気でわかる。最初の一年はそんな風に過ぎていき、ややこしくなってきたのは二年目になる頃だった。