離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
会社自体は波に乗っていた。飛ぶ鳥を落とす勢い、とは言うけれど、大手のポータルサイトのシステムアプリの契約をもぎ取ってから、大小関わらず仕事が舞い込んでくる。社長もアクティブに活動していて、先日はついにビジネス雑誌の取材が来てしまった。
その見本誌が、今私の手の中にある。
執務室の中、自席に着いた彼は椅子の背もたれにぐったりと身体を預けていた。その疲労具合は、さきほどこの雑誌を持ってきたのが彼を取材したライターだからだ。ちなみに女性だった。そのあたりに疲労感の原因があると察していただきたい。
私は机を挟んで彼の目の前で、その雑誌を捲っている。
「これ、明日発売だそうですね」
「おー……」
「もう、嫌な予感しかしないのですが」
瀬名社長は確かにかっこいい。一目ぼれするのもわかるし、それだけで特に迷惑行為がなければ平和でいいのだが、どうにかして彼と繋がりを持とうとした人がこの一年に三人いた。
殺到、というでもなく三人という微妙な数字がいやに現実的だ。そして明日これが発売されたら、どうなるだろう。
「大丈夫です? 記憶にない同級生とかから連絡来たり」
「いや、さすがにそんなのに引っかかるほど間抜けじゃないが」
「そうです? 小学校の低学年とか言われたらわからなくても当たり前だし。同級生の顔とか名前、全部思い出せます?」
「……気を付ける」