離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「あ、いいよいいよ。社長と話をする日まで、ちゃんとここにいて」
「え? でも、さすがに土日は旦那さん帰ってくるんじゃないの? 私がいたら邪魔じゃない?」
「別に一回くらい会うのが飛んでも大丈夫よ。それより居なくなられても困るから。女同士でたまには買い物でも行こうよ」
「まあ……いいけど。私はありがたいし」
ちゃんとって、なんだろう? それに別に居なくなったりはしない。プライベートで何があろうと、私たちは勤め人なのだ。
どうも私をここに泊まらせておきたいような言い方で、それが気になったが。邪険にされるよりは当然嬉しい。
離婚予定日は、来週。もう一週間もない。
会社では、落ち着いて仕事は出来ている。というのも、和也さんがほとんど執務室に居ないのだ。
和也さんが急に、仕事をどんどん詰め込み始めたのだ。まるで以前に戻ったようだ。時間が空けばスケジュールを前倒しにしてまで、精力的に動いている。自分で勝手にスケジュールを組んでしまって、私の仕事は事務作業ばかりになった。
頑なに拒否したせいだろうと思うと、罪悪感が湧いてくる。けれど、ふと思った。もしかしたら、私がいなくなっても大丈夫なように、その準備だろうか。
以前、離婚後の話をした時は、引き続き会社で雇ってくれるという話だったけれど。さすがに秘書を続けさせるのは気まずいということかもしれない。
ツキン、と胸の奥が痛む。その痛みを口にする資格は私にはないのだということは、ちゃんと理解していた。
自分の不安を理由に分かり合おうとすることからすら逃げた私に、夫婦である資格はないと思うのだ。痛いと思う資格もない。
「……社長、来週休暇でも取られるのですか?」
私が手を入れることはなくなったが、一応まだ社長秘書なのでスケジュールのチェックはしている。彼の来週のスケジュールがほぼがら空きになっていた。
不思議に思い尋ねると、彼はデスクに頬杖をつき、にこりと笑う。
「傷心旅行でもしようかと」