離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
 火曜日だった。当然、仕事である。和也さんとの話し合いは当然、仕事の後になるわけだが、彼はその日も当然、いつもどおりだった。
 終業時間になり、彼に挨拶をして退室しようとした時、軽く声をかけられる。


「じゃあ、後でな」


 そう言われて、にこりと秘書の顔で返事をする。


「承知いたしました」


 ほんの数日しか経っていないのに、私はなぜか秘書の顔でしか、和也さんと接することができなくなってしまっていた。
 けれど、その方が都合は良いかもしれない。何せ、話すことは離婚のことなのだし、別に特に揉める内容はないので淡々と書類に記入するだけだ。住む場所の保証人を、とお願いしたこともあったが、それはもう保証会社に依頼すればいい。頼る必要はない。
 いや、だからこそ、ちょっとは以前のように話した方が、気が重くならなくて済むだろうか。
 夕食は、ひとりで適当に済ませようと思っていたが、なぜか佐伯さんに誘われて一緒にカフェに入った。


「ほら、ちゃんと食べて。最近、いずみさん食欲落ちてるでしょ」
「そう?」
「食べないとこの後戦えないわよ!」


 野菜のキッシュとグラタンのプレートを食べていると、佐伯さんのセットについていたロールパンを私の食べる分に追加された。

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