離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
ふう、とマンションを見上げる。たった一週間帰らなかっただけなのに、懐かしいような感覚に襲われる。同時に、これまで佐伯さんが和らげてくれていた緊張にも。
いかなくちゃ。
肩にかけたトートバッグの柄を握りしめる。バッグの中には、私のところは記入済みの離婚届がクリアファイルに挟んで入れてあった。
これで、全部、結婚前の私たちに戻れるのだ。自分でそう望んだはずなのに、エントランスをくぐる足が、なぜかとても、重くなった。
部屋の前までそのまま来たが、鍵はまだ持っているけれどもう勝手に開けてはいけない気がして、インターフォンを押す。
しばらくして、内側からドアが開いた。
――あ。
「どうした? 鍵は持ってるだろ?」
上着を脱ぎ、ネクタイは既になくワイシャツの襟元は緩められている。私を迎え入れる和也さんは以前と変わらず優しく微笑んでいて、一瞬中に入るのを躊躇った。
このまま入ったら、一緒に暮らした日々のことをつぶさに思い出してしまいそうだった。特に、この三か月の間の出来事が。