離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
そうしたら決意が揺らいでしまいそうで。いや、ここに来た時点から既に、懐かしさに押しつぶされそうになっている。それが素直な感情ならば、本当にこれでいいのかと迷いが生まれる。
「いずみ?」
そんな私を、彼は不思議そうに見た。
「あ、いえ。失礼します」
動揺した私が彼に向けて浮かべたのは、やっぱり仕事の時の秘書の顔だった。緊張が酷い。玄関の中に招き入れられ、促されるままに靴を脱ごうとする。
「どうした?」
玄関で動かない私を、和也さんが振り返る。穏やかな顔が、なんだかいつもと同じようで、ほんのちょっといつもより怖いような感じがした。
まるで、この先に一歩進めば戻れなくなりそうな。その私の予感は、どうやら的中したらしい。
「……また、逃げ出しそうな顔をしてる」
「え?」
ふっと和也さんが笑みを深めた。
「悪いけど、今日は逃がさない」
その言葉と同時に、いきなり伸びてきた手に腕を取られる。それからもう片方の腕が、私の腰に絡みついた。