離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

 素肌がぴたりと密着し、抱きしめられた状態で目が覚めた私は、しばらくそのまま和也さんの寝顔を観察していた。ちょっと睨む。だってこの顔に散々虐められたので。
 そっと顎に触れてみる。指先が少しちくりとして、髭が生えてきているのがわかった。朝なのだから仕方がない。


「……クマ」


 目の下に、薄らとクマがある。考えてみればこの一週間、仕事を詰め込んでいたのだから当然だろう。
 動機がいささか不純だが。

 しばらくそうしていたけれど、まったく起きる気配がないのでそっと静かに身体を離す。ベッドから抜け出して時計を見れば、もうお昼に近かった。

 シャワーを浴びてさっぱりすると、何か食べるものはあるだろうかとキッチンに向かう。


「あら……何にもない」


 冷蔵庫にほとんど食材が入ってなかった。一週間自炊はしてなかったようだ。パンとお米、あとは賞味期限が迫った卵が少しだけある。軽い朝食くらいのものは作れるけれど、どうせ夕食もまた作るのならと買い物に行くことにした。

 あの熟睡具合だと、まだまだ起きてこないだろう。
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