離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
 駅に着いてすぐ彼に尋ねられた。


「で、どこに行きたい?」
「ええと、まずはこの間お話した戸小坂駅に行こうかと……」


 見てみたいと思っている駅のひとつをまず挙げる。それから、次はその駅から移動しやすい駅を、と思ったのだが。


「わかった。今日は戸小坂だな」
「え」


 言いながら彼はさっさと改札を通る。ふたりともICカードを持っているので、私もすぐにその後を追った。
 今日はって、また別の日にも連れて行ってくれるつもりなのか。できれば、今日一日で三駅くらいは見てみたかったが、確かにそれではじっくり地域を見て回るには時間が足りないかもしれない。


 休日の電車の中は、思ったよりも混雑していた。もちろん通勤ラッシュほどではないけれど。
 結婚してから、朝は和也さんと一緒に車に乗せてもらうようになったので、随分楽になったが、それまでは大変だった。

 ああ、そういえば。離婚したらまた朝のラッシュと戦わなければならないのか。

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