離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
「車の運転は苦手?」
「うーん……教習所の時は結構、楽しかったし覚えるのもスムーズだったんですけど……免許取ってから運転する機会に恵まれなかったから」
「じゃあ、少し練習すればすぐ乗れるんじゃないか」
「あの頃は若かったし」
「いや、今も若いだろ。何を急に、そんな年齢意識するんだ」
くっくっと声を抑えて笑う。
「だって、十代の頃と比べればなんか、行動力とか落ちてきた気がしません?」
「行動力が落ちた、かどうかはわからないが……まあ大学高校の頃とは行動の方向は変わったな」
「あ。学生の頃は結構やんちゃだったそうで……」
タタン、タタンと電車が揺れる。無言の数秒が彼の戸惑いを表していて、笑ってしまった。
「え、誰に何を聞いたの」
「私に和也さんの昔のことを教えてくれるなんてひとりしかいないじゃないですか。深夜のアルバイトで女性に大人気だったと」
「あいつ……」
滝沢さんは、大学以前、高校生の頃からの友人だという。大学の頃の和也さんなら遠くから見たことはあるが、その頃には目立ってはいたがチャラいという雰囲気はなかったが。
高校生の彼は、勉強は出来たが夜の街でアルバイトをしたりと中々忙しい高校生活を送っていたらしい。
――よーく見てみたら、今でもピアスの痕があるんじゃない?
高校時代の思い出話をしていた滝沢さんが、笑いながら教えてくれた。眼鏡が必要というほどではないが、さほど良くもない視力では、普通に話す距離でどれだけ目を凝らしてもわからなかった。