離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
 しかし、とっとと足を踏み出して早歩きになった彼を追いかける。少ししてから、確かに前方に川に石でできた橋がかかっているのが見えた。今、自分たちが歩いている道より数メートル下に石で舗装された川と整備された遊歩道が見える。道沿いには、木が延々と植えられていた。


「わ。綺麗なとこですね」


 薄曇りだが、僅かに差す日の光の中で鮮やかな新緑が風に揺れる。


「下に降りてみよう」


 彼の指さした先に、急な傾斜の石段があった。彼が先に降り始めて、私もそれに続こうとして。手すりを掴もうとした私の手のひらに、かさついた温もりが触れて驚いた。


「気を付けて」


 え。あ。う。

 何か言葉を発する余裕もなく、和也さんの手が私の手を掴み石段を下りやすいように誘導してくれる。

 いや、そんなことまでしてもらったこと、今までないよ。彼氏どころかお父さんにすら、いや、お父さんは普通しないな! 子供の頃ならともかく!

 混乱して思考回路が変な方向へ飛んで行った。
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