離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
……何をやっているの、私は。

 別に手に触ったことがないわけではないけれど、こんな風にぎゅうぎゅう握りしめてしまったのは初めてだった。

 頭が真っ白になりながら、のろのろと手の力を抜く。ちら、と視線を上げて和也さんの顔を見れば、彼も驚いたような複雑な表情で、さらに少しばかり耳が赤いような気がした。

 とまどう。そりゃとまどうよね、すみません。

 和也さんの手を解放して、一歩下がる。かああと顔の熱が上がるのを感じて尚更それに羞恥心を煽られた。


「……失礼しました」
「別に、怖ければ握ってればいいが」
「いえ。もう大丈夫です」


 ここは、さっきの場所ほど鬱蒼とはしていないし。


「ここは綺麗に舗装されてて歩きやすいですね」


 話を逸らすようにして前を向いて先に歩き始める。その直前、ちらりと目に入った和也さんの表情が、ほんの少し残念そうに見えたのは、珍しく慌てふためいた私をもうしばらくからかいたかったからだろうか。

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