離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

「客が入ろうが入らなかろうがどっちでも良さそうな雰囲気だったな」
「ご夫婦の楽しみみたいなお店っぽいですね」


 そう、やっぱりあのふたりはご夫婦だった。おばあちゃんたちの会話で知ったのだが。


「あんな風に、いつまでも仲良くできる夫婦もいるんですねえ」


 私の両親は、仲良いとこなんてもうあったのかどうかもわからないもんなあ。特に父親の方は、滅多に帰ってこなかったから本当に思い出というものがない。顔よりも玄関を出ていく背中の方がよく覚えているくらいだ。


 本当に何気なく、ぽろりと零してしまった言葉だったのだけど。私の手を握る和也さんの手が、少し強くなった。
 温かい。その感触が、嫌じゃなくて、困る。

< 78 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop