離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

「雨が降りそうだ」


 和也さんが、空を見ながらそう言った。私もつられて見上げれば、たしかに曇り空が一層どんよりと色濃くなっている。駅の分かれ道でじゃんけんをしてこちらの方向に来て、これから反対方向も見に行こうと思っていたのだけれど。


「今日は、帰ろうか」
「そうですね」


 なんだか、この時間が終わるのがとても、寂しい。
 こんなつもりじゃなかったのに。
 こんな気持ちになるはずじゃなかったのに。
 
 再び電車に乗って、いつもの駅に着いてマンションまでの道を歩く。彼の歩く速度が心持ち急ぎ足で、それが雨に追い立てられているのか、それとも……。

 家に着いたら、話をするのだろうか。なんの話を?

 住み慣れたマンションがもう目の前に来た時、スマートフォンの着信音が鳴る。和也さんのものだった。

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