離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
ぽつぽつと雨粒が道路に落ち、ところどころ色が変わる。まだ降り始めという程度で、マンションのエントランスはもう先に見えている。
 和也さんが、スマートフォンを手に取って確認し、それからまたジャケットの内ポケットにしまった。


「大丈夫ですか? 気にしないで出てください」
「いや、いい」
「なんでしたら離れてますけど」


 和也さんの携帯電話には、仕事関係からかかってくることがとても多い。だから、彼がかかってきた電話にすぐに出ないということは滅多にないことだ。
 不思議に思ってついその横顔を見つめると、何か表情が硬いような気がした。

 仕事の電話ではなくプライベートの知人かもしれないが、それにしても私の前でならいつも気にせずに出ていたのに、珍しい。

 そんな風に首を傾げていた私は、続いた彼の言葉で急速に現実を思い出した。


「幼馴染からだった。最近よくかけてくるから、またかけなおすよ」


 ――幼馴染。

 そのワードに、ひやりと胸の奥を撫でられたような気がした。
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