離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす

 余計な気遣いだなあ……。
 滝沢さんの顔を思い出して、ちょっとだけむっとした。元々、結婚に夢なんて持ってないからこんな業務上の結婚をしたんだし、上司との関係に恋愛感情を持ち込んで今後の仕事に支障が出るようなことはしない。

 絶対、しない。

 自分に言い聞かせるように繰り返す。その間にエレベーターは私たちの部屋のある階に到着し、今度は和也さんが早足で降りた。


「はあ、ただいまぁ、疲れましたぁ」


 玄関で靴を脱ぎ、わざとらしいくらいに明るい声を上げる。何やら和也さんの方から無言の圧力を感じる。

 話をしたいと言っていたけど、私はしたくない。とにかく部屋でちょっと落ち着きたいし、和也さんとの今日一日の妙な空気をリセットして元に戻したい。

 よし、逃げよう。


「コーヒーでも淹れる」


 少し低い声が、彼の不機嫌さを表している。機嫌を損ねるような態度をとっているのは私だとわかっているものの、自分ではどうにもできない。

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