離婚予定日、極上社長は契約妻を甘く堕とす
返す言葉に困って、口を噤んだ。そんな私の反応も彼は読んでいたのか、にやりと挑戦的な笑みを浮かべる。
和也さんらしくない、初めて向けられた表情に、目を見開いた。常に穏やかな人だ。私に対してだけでなく、仕事の関係者にも取引先にも、基本柔和な表情を崩さない。
それが今は、穏やかというよりも意地悪くさえ見えてくる。
目を合わせているのが気まずくて、ついあちこちへと視線が逃げる。弧を描いた唇に一度留まった時、まるで確かめるようにもう一度、はっきりと告げられた。
「俺は、離婚したくない。どうしてだと思う?」
「だから、わからな……」
「じゃあ、離婚予定日までに考えて」
は……と、思わず目を合わせる。彼は苦笑気味に私を見つめていて、その表情がまるで聞き分けのない子供を見るようで、ほんの少しだけ柔らかさを取り戻していた。
「か、考えるって?」
「その日に答えを聞かせてもらう」
頭の中でクエスチョンマークが飛び交っている。
考える。何を。和也さんが、離婚したくない理由を?
私が考えて、和也さんに答えるの?
なんで?
考えているうちに、掴まれていた手首が解放された。それでほっと気が緩んで、とにかく早くこの場を逃げ出したくて後ろ手にドアのノブを握って捻る。