暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》



ファンと二人きりになったところで、本題を持ち掛ける。


「この資料だが、南に位置する国境近辺の町で人身売買が行われている事は確かか?」


「あぁ。国境の管理を行う入国管理局の者から、怪しい輩が入国の手続きを行いに来たと報告があった。実際、町からも行方不明者が出ているみたいだ」


「……イーズン国か」


この国では奴隷制度を廃している。


奴隷を所有する事も、奴隷の売買も禁止されているこの国とは違って、奴隷が当たり前の国もある。


まさに、隣国のイーズン国は人身売買が当たり前の国である。


「予定より早いが出発する」


「御意」



昼過ぎ。


立派な黒い馬に跨った騎士数名と官僚を含む視察隊一行は、南を目指して出発した。


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