暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》





***


執務室の窓から、綺麗な夕焼けが差し込む。


険しい表情で資料と睨む合うリードの元に現れたのは、束になった資料を手に持った宰相のファンだった。


「あの者の様子はどうだ?」


「言われた通り、直ぐに皇宮医を部屋へ向かわせた。手首が少しだけ腫れていたが、冷やせば問題ないそうだ」


「…頬の傷は?」


「あぁ、それも問題ない。ただ、傷跡が………」


そこまで言って、ファンは話すのを止めた。


「傷跡がどうした?」


言い辛そうなファンだったが、リードのその様子に渋々続きを話し始めた。



「顔に……残ってしまうかもしれないそうだ」


「そう…か」


その言葉にリードは、ただ静かに返事を返した。



「皇宮医には、なるべく傷跡を残さぬ努力をするよう伝えろ」


「かしこまりました」


「それはそうと、お前がここに来たのは、余に何か報告する事があったのだろう?」


リードはファンの手に持っている資料に視線を向けた。



「あぁ、そうだ。先日捕らえた人身売買の商人を拷問したところ、その内の一人が自白しました」


「ほぅ…。では、その内容を聞こう」


「やはり商人達はイーズン国の者でした。この国が人身売買を禁止していると知っていながら入国し、商品となる人間をあの町で攫っては、高額な値段で売りさばいていたそうです。また、購入者の情報は共有されない為居場所の特定が難しく、奴隷として売られていった人達の消息も掴めないとの事でございます」




「やはり、あの国は潰した方が良さそうだな」



「…警備を強化したところで、結局また同じ事が起きる事でしょう。奴隷売買を禁止されていると知っていながら、買う者もいるのですから。そのやり方も良いかもしれませんね」




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