【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

憧れ、か。

確かに仕事はバリバリとこなして、男社会の会社の中でも男性に負けず劣らずに頑張ってきたつもり…。

父の後ろ盾がないと何も出来ない女だと思われるのが嫌だったから。ただでさえ女性軽視されてしまう世の中なのだから、ここで生きて行くには強くなくてはいけない。

強く、強く。そう思っているうちに肩肘が張ってしまっているのも事実ではあるんだろうけれど。

手を抜いて生きれない。だって手を抜いて生きていく方が疲れちゃうんだもん。どうして人はやれば出来る事をしようとはしないんだろう。その癖文句はいっちょ前に吐く癖に。

私はただの凡人だ。けれど誰よりも努力をしている自信はある。けれどそんな強気な私の性格は…男性から見ればきっと可愛く映らない事は分かっている。




打ち合わせで1日中走り回ったり、定時を過ぎても終わらないデスクワークをして1日が終わる頃には疲れが溜まっていても、仕事は嫌いではないわ。寧ろ…好き。

けれど結婚しても続けられるのだろうか…?

もしもいずれ結婚する人が家庭に入って欲しい人だとしたら…。私は器用な人間であるし、昔から花嫁修業と称して色々な習い事をしてきた。

だから家庭に入っても家事は完璧にこなす自信がある。お嫁さんになるのが私の小さな頃の夢だった。それならば家庭に入る事が1番の幸せなのかもしれない。

家事をして、子供を産み…。けれどいつか父が決めてくるであろう相手を…私は気に入れるかしら?

それこそ馬鹿馬鹿しいか。私の結婚は気に入る気に入らないの問題ではないのだから。

そして、私の小さな冒険は既に終わった。



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