【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「何それ、変なの。
ねーちゃんの結婚なのに何でお父さんがそこまで口を出すわけ?
結婚するのはお父さんじゃなくてねーちゃんじゃん。そんなの変!絶対変だし!」
「大地は黙っていなさい」
「いやでーす。大体ねーちゃん結婚したいわけ?仕事楽しいって言ってたじゃん。
それに結婚するにしても自分の好きな人としたくない?会うってそんなのお見合いみたいじゃん。それで結婚したらまるで政略結婚じゃん。
ねーちゃんはそれでいいの?!」
何でこの子は私と違って自由なのだろう。同じ環境で育ってきたはずなのに…。
私はいつも両親の前では、ちゃんとしなきゃとかしっかりしなきゃって事ばかり前に出てしまう。
きちんとしていなくては、篠崎家の娘ではないんだ、と。すごく心の不自由な女になってしまう。
くるりと横を向いた大地と目が合う。姉を本当に心配している顔だった。
いつの間にこんなに大人になったのだろう。あんなに泣き虫で小さい頃は私の後ろをついて回るばかりだったのに。
「大地、とはいっても菫は普通の子とは違うんだ。誰とでも結婚という訳にはいかないよ。
それに大地もまだ社会人になったばかりだけど、いつかは良家の娘さんと結婚しなくてはいけない」
父のその言葉に心臓がドクンと高鳴った。
’普通の子とは違う’
私ってそんなに普通の子と違うの…?
お父さんにとって私は特別な娘でなくちゃやっぱり価値がない人間になるの?