私に恋する可能性



「…間部?」


へ?


多岐くんの顔に思わず見惚れていたら茂木くんが私の名前を呼んだ


「名前、間部っていうの?」


「あ、はい。間部ひなたです」


「ふーん…ひなたね」




な、なまえ


「覚えた。俺は茂木蓮斗、よろしく」


「よ、よろしくお願いします…?」



唐突の自己紹介だな


茂木くんが改めて差し出した右手


握手かなと思って私も手を出した


しかし


ぎゅ


「そろそろ行こ、遅くなっちゃうから」


私の手は茂木くんの手と触れる前に多岐くんによって掴まれた


へ…こ、これは


「じゃあな茂木。また学校で」


「…」


茂木くんと多岐くんのなんとも言えない視線の絡み


ぽけっとしてた私の体はぐいっと引かれてその場を離れる





こ、これは…


視線の先では多岐くんの手と私の手がつ、つ、繋がっている!?


「た、たた多岐くん!?」


パニックになって裏返り気味の声で名前を呼ぶ


「んー?」


「て、手!」


「離すとまた埋もれるだろ?もうすぐで人混み抜けるから悪いけど足我慢して」


あ、足?

あ、怪我?


今そんなことどうでもいいくらい頭真っ白なんだが!!


多岐くんの私より一回りも大きなゴツゴツした手


思ったよりもあったかくて、なんかスベスベしててえっとえっと



プシューと頭から煙が出てるかもしれない私


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