私に恋する可能性
「だから茂木、お前が俺からひなたを奪うのは不可能なの」
多岐くんの声が頭上から聞こえる
視界は多岐くんのブレザー
もうなにがなんだかわからない
蓮斗くんの目の前だというのに抱きしめられた状態
「…俺は何を見せられてんだよ」
しばらくして茂木くんの気怠げな声が聞こえた
「現実」
「くそが」
「諦めろ諦めろ、んで二度とひなたに近づくなクソ茂木ぃ」
た、多岐くんのキャラが崩壊してる
「はぁ…俺の一世一代の告白ぶっ潰しやがって
このクソ多岐」
仲悪いな
…いや、悪いのかな?
不意に声色の優しくなった蓮斗くんが息を漏らす
「皆無だった可能性をぶった切ったひなただからこそ、不可能って言われちゃったら無理なんだろうなって思い切れるよ」
え?どういうこと?
振り返って蓮斗くんの表情を見る
「ひなたが頑張って手に入れた多岐との関係を引き裂きたくないなって思っちゃったってこと」
「蓮斗くん」
「自分が引いてでも本気でひなたの幸せを願えるほど惚れてるよって言う最後の俺の押し」
なんか
「蓮斗くんすごい変わったね」
だって初対面って…
『遊ばれてるだけなんだよ?』
とか言ってた冷酷でサイコパ(ん"ん"
冷酷で苦手なタイプだなって感じてたのに
「ひなたのおかげかな」
ふふ、私ってすごい