翼のない鳥
「どうかした?美鶴。」
「あーっと、ん、っと・・・」
あれ、は・・・言った方がいいんだろうか。
別に、律も隠してるわけじゃないし。
ただ、積極的に人に言おうとしてないから、友達を作ろうとしない律が“それ”を話した人は、片手で数えられるほど。
「あ、の。律のこと、なんだけどね。」
でも、これから関わっていくなら、もし仮に、仮に3週間だけの付き合いになったとしても、言っておいたほうがいい。
「みんなに教えてほしいことがあって。秘密ってわけじゃないけど、あんまり他言しないでほしいの。・・・すごくデリケートなこと、だから。」
怪訝そうな顔をしたみんなの目を見ずに、うつむいたまま話す。
ほんとは、私から言うべきことじゃない。
「いいのか?そんなこと、話して。」
怒られねえの?と言った流星くんは、本当に私のことを心配している。
うん、そうだよね。
分かってる。
でも。
「律、自分では絶対言わないから。それに・・・知らないまま律に関わったら、律が苦しむ、から。」
「苦しむ?律が?」
意味が分からない、と眉をよせた司くんにうなずく。
律が苦しむなら、今ここで、私が話しておかなきゃ。
それがせめてもの、私の・・・贖罪。
何も、気付いてあげられなかった、無神経な私の、償い。