愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「いいね」


運転席の月島くんは、ウインクのように目配せする。
滑らかにハンドルを操作しているってことは、おすすめの夜景スポットを知っているのだろうか。
できれば車から降りずに眺められるところがいいな、なんて期待をした数十分後。


「着いたよ、毛利さん」


月島くんが車を停めたのは、マンションの地下駐車場だった。


「ここ……?」


ベイブリッジが見える港とか、ちょっとした高台とか、そういう場所に到着すると推測していた私は、予想外のゴールに目が点になる。

車を降りた月島くんに誘導されるがまま、エントランスにやって来た。
コンシェルジュが常駐していて、広くて落ち着いた雰囲気の空間はまるでホテルのロビーのようだった。

ここって月島くんの家、だよね。
慣れた足取りに確信する。

けれども不思議なことに、月島くんは住人用のエレベーターには乗らず、関係者しか立ち入ることのできないドアを通り、専用のエレベーターに乗り込んだ。
階数ボタンは駐車場、エントランス、そして最上階しかない。

もしかしたら最上階に隠れ家的なバーでもあるのだろうか?
外から見た感じ、かなりの高層マンションだった。たしかに夜景は綺麗だろうな。

服装を気にしてそわそわしていると、最上階にたどり着いた。
エレベーターを降りると、無機質な空間にドアがひとつだけあった。


「ここは?」


キョロキョロと周囲を見回して、最後に隣に立つ月島くんを見上げる。


「俺の家だよ。リビングから夜景が綺麗に見から、案内する」


家?
この、フロアにひとつしかないドアの向こうが?


「どうぞ」


月島くんはドアを解錠し、立ち尽くす私に頓着しない気軽な調子で言った。


「お邪魔します……」


真っ白な明るい玄関で靴を脱ぐ。廊下を直進し、リビングに通された。
装飾品などはほとんどなく、シンプルにモノトーンで統一されている。
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