愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
最新式の家電、ブランドのものなのか高級そうな革張りのソファ。
生活に必要なものはすべて揃っているのにあまり使い込んだような生活感がなく、まるでモデルルームのようだった。


「月島くんは、ここにひとりで住んでるの?」
「そうだよ」
「この階って、ドアがひとつしかなかったけど」
「ああ、フロアすべてが俺の家なんだ」


私は絶句した。

フロアすべて、って、毛利亭の個室をいくつ合わせたくらいだろう。想像がつかない。


「毛利さん、こっち」


リビングのドアの前に突っ立っていた私は、月島くんに手招きされて歩み寄った。
角度的にキッチンカウンターに阻まれていた大きな窓が見えてくる。

近づくにつれてその全貌が窺えて、私は息を飲んだ。


「うわ……!」


所狭しと建てられたビルやマンションの部屋の無数の明かり、時間によって色を変える電波塔、高速道路を走る車のヘッドライト。
色とりどりの光がまばゆくて、目の前の世界が輝きで溢れている。

すごい、光の粒一つひとつが生きているみたい。

テレビや雑誌で特集されたものを見たことはあったけれど、実際にこんなに素敵な光景を見るのは初めて。
ずっと見つめていると比類のない美しい光景に勝手に目が潤んできて、光が膨張してくる。


「この夜景を独り占めできるなんて、信じられない。贅沢すぎ」


私はため息交じりにつぶやいた。


「ここに住めば、毛利さんだって独占できるよ」


いつの間にか、肩が触れ合うくらい近くに立っていた月島くんがサラッと言った。

ここに住めば、って……冗談だよね?


「せっかく毛利さんが来てくれたんだし、乾杯しようか」


複雑な表情を浮かべている私に構わずに、月島くんはワインを開けた。
食器棚から取り出したシンプルなワイングラスに注いでくれたのは、とっても飲みやすいスパークリングワインだった。

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