愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「お待たせしました」


小走りで近寄る私を見て、ふっと優しく目尻を下げた。


「ううん、どうぞ」


スマートな動作で助手席のドアを開け、私をエスコートする。


「昨日は本当にごめんね、迷惑かけて」
「全然だよ。毛利さん、お酒弱いんだって?」


運転席に座り、シートベルトを締めた月島くんが私をちらりと見て言った。


「え、母に聞いたの?」
「うん、昨日電話したときにね。今度からは俺が一緒じゃないときは気をつけて、心配だから」


前方を見据えたまま、車を発進させた月島くんの声は真面目なトーンだ。


「大丈夫だよ、昨日は本当に疲れてたからだし」


それにたぶん、緊張していて張りつめていた線がプツンと切れたせいもある。


「一緒に飲んでて寝ちゃうなんて、心配で目が離せないよ」


横目で私を見るときの目線が、いつもより鋭いように感じる。


「今度から気をつけます」
「俺と一緒だったら、いつ寝ても構わないから」
「はいはい」


素直に頭を下げた私だったけど、心配性な月島くんに呆れて適当な返事をした。


「あ、朝のワッフルもすごく美味しかった。タクシー代もお返ししたいんだけど」


私が持っていたバッグの中からお財布を取り出そうとすると、月島くんは首を振った。


「喜んでもらえてよかった。ワッフルは実はデリバリーなんだ」
「デリバリー? そうなんだ。お店を知りたいな」
「気に入ってくれたならまた今度頼もう。タクシーも、俺が心配で勝手に手配したことだから、毛利さんは気にしないで。っていうか俺的には、仕事が終わるまで部屋で待っててほしかったけどね」


ハンドルを握る月島くんは、キョトンと目を見開く私に目配せをした。

『また今度頼もう』って、また朝まで月島くんの家で過ごす機会はあるのだろうか。
月島くんは現実になると考えているのかしら。

それともただの社交辞令で、私の考えすぎ?


「あの、ありがとう……」
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