愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
考えても答えが浮かばない思考を一旦停止させ、改めてお礼を言った私に、月島くんはとても丁寧に紳士的に「どういたしまして」と言った。

月島くんがよく利用しているショップがあるとかで、車を止めると路面店が並ぶ通りを歩いた。
入店したのは有名なブランドショップで、月島くんは店員さんと顔見知りらしく挨拶をした。


「結婚式に出席する彼女に合うものをいくつか紹介してもらいたいんだ」
「かしこまりました、少々お待ちください」


名前はもちろん知っているし、雑誌で見てかわいいなと思っていたけれど、ショップに入ったことがない私は月島くんの陰で緊張しながらキョロキョロする。

月島くんはいつもこんな高級ショップで買い物しているのだろうか。
堂々とソファに腰を下ろし、店員さんが持ってきてくれたいい香りがするお茶を啜っている。


「月島様、お待たせいたしました」


戻ってきた店員さんは、黒いブラウスを手にしていた。
什器の上に広げる。


「こちらのギピュールレースのドレスブラウスはいかがですか?」


ギ、ギピ……?
耳慣れない単語に私は頭上に疑問符を浮かべるけれど、月島くんは顎に手をあててじっくり見入った。


「本日お召しの小花柄がとってもお似合いですので、フラワーモチーフのものがよろしいかと思いまして」


店員さんが私の顔を窺ってにっこりする。


「シルクのプリーツスカー卜はベージュに黒のドット柄を合わせてみてはどうでしょう」
「か、かわいい……」


思わず声が出た。

立体感のある総レースのブラウスは、肩の部分がひらひらしているデザインで素敵だし、店員さんが素早く持ってきてくれたプリーツスカートはちょうど膝下で揺れる丈でとってもかわいい。

ただの黒いワンピースを想定していた私は、お洒落な組み合わせに感動した。


「うん、色白な毛利さんにすごく似合いそうだ。試着いいですか?」


月島くんが言うと、店員さんはすぐさま私をフィッティングルームに案内した。
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