愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
目線を下降させ、月島くんはひと口分しか減っていないお皿を見た。


「なんだ、そうなの? 無理に合わせなくていいのに」
「毛利さんが今日すごくかわいいから、メイクもファッションも、言動も全部。それに水を差すのもなって思って」


かわいい……?
ぜ、全部⁉

月島くんの台詞を頭の中で反芻してはダメだ。一気に赤面してしまう。


「昨日は気を抜いててお見苦しかったかと思って、一応今日はちゃんとしようかと……」


モゴモゴと言い訳みたいに言って、私は熱くなる顔面を隠すようにうつむいた。


「昨日もすごくかわいかった。自然体の毛利さんも特別な感じがして、うれしかったんだ」


学習能力がない私は、再び月島くんの言葉を頭の中に響かせて、今度は温かい気持ちになった。
私も、月島くんに対して同じことを思ったから。


「どっちの毛利さんも、俺にしか見えなければいいのに」


テーブルに前のめりになった月島くんは、頬杖をついて真正面から私を見つめる。
射抜くような眼差しは、吸い込まれる錯覚を引き起こすほど澄んでいる。


「ごめん、贅沢なわがままだよな」


冗談みたいに笑ったけれど、私の胸はドキドキと高鳴ったままなかなか止まなかった。

パンナコッタの甘い香りとは対照的な月島くんの強い眼差しが印象的で、しばらく心に残った。



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