流れ星に願いを…〜星空に流れる一粒の涙〜
係長の長々しい挨拶に

イラつきながら

横目で仁を見た。

ちっとも係長の話しなんて

聞いてない様子。

「乾杯」の一言が

待ち遠しそうだ。

あたしも喉がカラカラで

隣の子と

「話し長くない?」なんて

話したり、あっちこっち見たら

みんなもイラついてるのが

わかった。

それを察したのかどうか

わからないが

係長はあせったような感じで



「乾杯!」



妙に声が上擦っていた。

もしかしたら祥子さんに

睨まれたのかな?なんて

チラッと思いながら

一気にビールを喉に

流し込んだ。








お酒が入り

ほろ酔い気分で

みんなと話しが

盛り上がってきて

楽しくなってきた。

口に運ぶ

お酒のペースも速くなってきて

いい感じになってきたけど

変なところで醒めていて

意識して仁の席には

なかなか近づけなかった。

お酒の力で

いつも心の奥に押し込んでいた

感情が解き放たれないか

不安だったから。






でも

自分に素直じゃない

あたしは

みんなと騒いで

それこそお酒の力を借りて

わざと仁に聞こえるように

ちょっと大きめの声を出して

笑ったり、

おかしな話しをしたり

仁に気づいてもらおうと

仁の気を引くのに

一生懸命だった。

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