寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「なんでもやってる。どれがいい?」
シアターの公式サイトから、上映スケジュール一覧を雪乃に見せた。
コメディ、アクション、SF、ラブストーリー、ホラーなど、休日の今日は豊富に上映予定が詰まっている。
「ラブストーリーでもいいよ。観たいんじゃない?」
迷っている雪乃に、晴久は笑顔で提案した。
「……なんで分かったんですか?」
気になっていたものを真っ先に当てられ、雪乃はパスタを飲み込んで赤くなる。
「王道がいいんだろう?」
「晴久さんは?」
「俺も真っ赤になってる雪乃が見たいから、ラブストーリーがいいな」
「物語じゃ赤くなりません!」
説得力がないほどすでに赤い顔をしながら、雪乃は晴久に抗議した。
(じゃあなになら赤くなるのかな?)
彼女をいじめるのはやめ、心の声は内にしまっておく。
エスコートに徹するという目的を持っていた晴久だが、彼女とは特別気を遣わなくても会話のペースが合い、そばにいるだけで楽しかった。