寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

ショッピングモールから数分歩き、大通りから一本裏道へと入ったところから、表の黄色いイルミネーションはぱったりと途絶えて閑静な住宅街へと続いていた。

ぽつぽつとした電灯が並んではいるが、小気味の悪い枯れた並木道に、雪乃はキュッと腕を持つ手に力を込める。

「怖い?」

晴久は空いている手で彼女の頭を撫で、雪乃は彼の問いかけに首を横に振った。

晴久がいるから胸にくるような恐怖は感じないものの、こんな夜道になにがあるのかと彼女はハラハラし始める。

晴久を信用している。だから変な場所には連れて行かれるわけはない。
それは分かっているものの、秘密と言った晴久に目的地を尋ねたくて仕方なくなってきた。

「……暗いですね」

ついそう漏らし、彼に訴える。

「これ以上は暗くならないから大丈夫だよ」

「どこに行くんですか?」

「もう着いてる」

着いてるって?と首を傾げながら、雪乃は辺りを見回した。
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