寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
◇◇◇◇◇◇◇◇
晴久と小山は営業先へ訪問した後、昼食にいつもの蕎麦屋へ立ち寄った。
「高杉課長。なんか今日元気なくないですか?」
「……えっ」
蕎麦に箸をつける晴久の顔を、小山はじっと覗き込む。
ここまでの道中で出張の感想をあらかた話し終えた彼は、今度は晴久の話を聞きたがった。
気分が沈んでいると小山にまで悟られたことが情けなくなった晴久は、「いや、別に」と表情を引き締める。
「そうですか? 商談はいつも通りでしたけど、終わるといつもより暗い気がします。今も」
気まずくなり否定しながら目を逸らす晴久。
しかし小山はまた別のことを思い出したらしく、「あ!」と声を上げた。
「声が大きい。どうした」
「そうだ俺、課長に聞きたいことがあったのに忘れてました」
「……なんだ」
「ちょっと待って下さいね、彼女から聞いたんですけどー」
そう言ってスマホの画面をタップし始めた小山に、晴久は嫌な予感がした。
(また例の彼女か)
この口が軽い男になんでも話す彼女が絡むと、ろくなことがない。
とくに今はラブラブなやりとりを見せられるのはごめんだ、とげんなりするが、かといって止める気力もなく、お茶を飲みながら彼のスマホが出てくるのを待った。
「ほら、これなんですけど」
一応顔を寄せ、小山がこちらへ向けて見せてきた画面を見る。