寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「ああ、高杉くん。ちょうどキミの意見が聞きたかったところだ」
次長はほんの少し機嫌が直り、朗らかな表情で晴久の発言を促した。
「岡田の営業はアフターフォローが丁寧で、既存先に対して細やかにニーズを聞き出しています。ちょうど、彼の担当先である花村産業が機器の入れ換えを計画している最中ですので、そちらへ注力している結果、新規先の開拓が後回しになっているものだと思います」
岡田はコクコクとうなずいている。
「なるほど。だが同時進行で開拓もしていかなければ目標を無視するも同然じゃないか?」
「おっしゃるとおり。しかし、少ない実績ですがすべて今月に入ったアポです。フォローに忙しかった先月を反省し、今月は取り返しています」
「ああ、たしかに。本当だ」
次長と部長は資料の月毎実績を見比べ、うなずいた。
「数字が求められる三年目というのは新規先に力を入れすぎるあまり既存先へのフォローが不十分になり、信頼を失いがちです。それと比較すれば岡田の取り組み方は評価できますし、彼なりに優先順位を考えている結果だと私は見ています」
これには部長も納得し、眉間のしわがなくなっていく。岡田は「課長……」とつぶやきながら、晴久を見つめた。晴久もこれに応える。
「岡田は来月の進捗を見てからの調整で大丈夫でしょう。取り返してくれるはずです」
岡田を叱責するはずだった部長は、まるで態度が変わり「期待しているよ」と彼を激励した。