寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

後輩、しかも新入社員に恋愛沙汰でこうも責め立てられては、どう対処していいのか分からない。

「ごめんなさい。岩瀬さんが告白したときは、恋人ではなかったんです」

正直に状況を伝えてはみたものの、雪乃は素顔を隠すとともに、その後も関係を隠していたのは事実。
岩瀬をフォローせず放置していたことに違いはなかった。

それを自覚している雪乃は、彼女の文句は甘んじて受けようと覚悟していた。


「……どうして付き合うことになったんですか。私はダメだったのに、高杉課長はその後すぐ先輩と付き合ったんですよね。どうして私は選ばれなくて、細川さんが選ばれたんでしょうか」

難しい質問をされ、雪乃は息を飲む。
そもそも雪乃も、答えを知らなかった。

外で聞いている晴久は悩ましくうつむいている雪乃の代わりに自分が答えてあげたいくらいだったが、雪乃と部下の問題が絡んでいる状態で出ていくべきではないと判断し、彼女を見守っていた。

雪乃は首を傾げながらも自分なりの答えを見つけ、ポツリと答える。

「タイミングだったと思います」

「……タイミング?」

岩瀬は眉を寄せた。雪乃は続ける。

「私は口下手ですし、面白くもないですし、一緒にいて誰かを楽しませることは苦手です。でも本当に運がよく、高杉課長と巡り会えました」

「どうやって、ですか?」

「会社以外の場所で出会いました。少し運命的だったと思います。どうやって出会ったのかは、秘密にさせてもらいたいんですが……」

「そう言われると聞きたくなっちゃうんですけど」

雪乃は少し考え、やはりできないと首を振る。

「秘密です。本当に運命的だったので。そのときの相手が私ではなくて岩瀬さんだったとしたら、岩瀬さんが恋人になっていたと思います」
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