寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

外で聞いている晴久は、じっと耐えていた。

雪乃は本心を告げたつもりだったが、それは岩瀬を納得させはしなかった。
代わりに彼女は「細川さん、全然分かってない!」と頬を膨らませ、さらに雪乃に詰め寄っていく。

「岩瀬さん?」

雪乃は彼女の勢いに押され、一歩後退りをした。

「タイミングって、そんなわけないじゃないですか! 細川さんだから選ばれたんです!」

「……え?」

岩瀬は腕を組み、「ハァーッ」と大きなため息をつく。

「細川さんって、自己評価低すぎですよね! 仕事もできるし、優しいし、フォローしてくるし。総務部に入ったときから細川さんみたいになりたいって思ってたんですから! だいたい、眼鏡とマスクをしてても美人だって分かりますよね。ほかの先輩方が知らなかったなんて呆れました」

「岩瀬さん……」
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