寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「相談、ですか……」
雪乃はうつむいて考えこんだ。
知らない男とふたりでカフェへ入るのはまだ恐怖感がある。以前なら過呼吸になってまともに話などできなかっただろう。
(でもファミレスなら明るいし平気かな。相談って時間はどれくらいかかるんだろう。あんまり暗くなると困るけど、いざとなれば残業が終わった晴久さんと帰れば大丈夫だから……)
彼女がぐるぐると頭を悩ませて考えている様子を、伊川はニヤニヤしながら見下ろして待っている。
(でも、そもそも恋人だからって私が相談に乗れるような立場でもないし……。だけどこの人に晴久さんが誤解されたままなのはずこく嫌だな……)
雪乃はファミレスにちらりと視線をやる。そしてそれを相沢へと戻した。
「分かりました。お聞きします。お役に立てるかは分かりませんが」
「ほんと? ありがとう!」
人懐こい笑顔を見せた伊川を悪い人ではないと感じた雪乃は、「じゃあさっそく行こう」と催促する伊川に従い、ファミレスへと歩きだした。