寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
【お仕事中すみません。今、】
現状を報告しておいたほうがいい。
そう確信した雪乃は集中して晴久へのメッセージを作るが、視界がぼんやりと揺れており、頭がぐわんぐわんと重たく動く。
(これ、なに……? 頭がクラクラする。まだ甘いカクテルをふた口飲んだだけだから、こんなに酔わないはずなんだけどな……)
【今、バーにきてますが帰れなつてこまつて、?。ま】
つるん、と画面を指が滑り、思うように動いてくれない。
(文字が打てない……立ってもいられない……)
不完全な文章のまま送信ボタンを押してしまい、トーク画面に載った。訂正するための思考力はもうない。
雪乃は個室から雪崩落ちるようにして出て、フラフラとカウンターへ向かう。