寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~


自宅に着いてタクシーから降りる頃、雪乃はやっと眠気から覚めた。

車内ではずっと晴久の肩にもたれて眠っていたが、目を覚ますとまた酔いのせいでうわ言を繰り返している。

「はるひさ、さん……ここどこ……」

「家に着いたよ。さあ掴まって」

まだ後部座席にいる雪乃に手を伸ばし、抱き寄せる。雪乃は素直に彼に腕を回してしがみついた。

晴久はタクシーが去ると、足もとがフラついている彼女をお姫様抱っこで持ち上げる。

「わぁ、あのっ……」

「黙ってて」

ピシャリと制され、彼が怒っているのだとやっと気付く。

(迷惑かけて、嫌われちゃったのかな……)

雪乃は不安げに瞳を潤ませ、「ごめんなさい」とつぶやいた。

晴久はとくに反応せず、エレベーターで一度彼女を降ろし、到着してからまた抱きかかえる。

片手で部屋のロックを解除し、ふたりで中へ入った。
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