寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
(……あ)
今夜はこちらも高級ホテルのディナー。雪乃はちょうど、食後の紅茶のティーカップを持っていた。
目の前の晴久は、じっとこちらを見ている。
「……晴久さん?」
彼の余裕のある瞳に囚われながら困惑している雪乃に、晴久はフッと笑った。
「今夜は、俺はプロポーズじゃないよ。ごめんね」
耳までみるみる真っ赤になった雪乃は口をパクパクさせる。
「え! あ! やだ、そんな意味で言ったんじゃありません……!」
「ふふ、知ってる」
まだ付き合って一ヶ月なのだから雪乃も期待をしていたわけではないが、するつもりはないと断言されると心に刺さるものがあった。
(わかってる、わかってるけどっ)
少しぎこちなく、紅茶をすする。
いつか彼のお嫁さんになりたいという夢はいとも簡単に膨らみ、最近はそればかりを妄想している。まだ一ヶ月。
そんな短い期間ではとても叶う夢ではない。