寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
家の中へ案内され、数年前にリフォームしたというリビングに通される。
向かい合ったソファに座り、斜め上の壁に見える時計は午後三時を指していた。
着席すると父親はリラックスしたのか、想像していたより数倍も男前の娘の彼氏を前にしてやっと朗らかな表情を向ける。
「雪乃から聞いて驚きましたよ。東京で恋人ができたって。めったに都会に出ないので心配してたんですが、こんなに真面目そうな方だとは」
「ええ、雪乃さんとお付き合いさせていただいています。ご報告が遅れてすみません」
「いやいや、挨拶に来てくれるなんて今どき珍しいですよ。うちの娘がこんな感じで気が利かないもんだから、気を遣ってくださったんでしょう?」
「ちょっとお父さんっ」
余計なことを喋らないでとむくれる雪乃は、母親がキッチンから運んできたお茶を盆から受け取り、晴久の前へ差し出した。
「気が利かないわけじゃないんですよ、晴久さんっ。 お父さんの言うこと信じないでくださいね」
「はは、うん」
仲のよいやりとりをするふたりに、父と母はポカンとした。
「あら雪乃、高杉さんと敬語でお話ししてるの?」
母が先に疑問を口にした。
「あ、うん。晴久さんは六つ年上だし、会社では上司だから」
するっと簡単に説明した雪乃に、晴久はギクッとしながら、父親の顔色をうかがった。
「上司……?」
父親の眉はピクリと動く。