寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
これはまずい、と彼の戸惑いを察知した晴久は口を挟んだ。
「あー、あの。雪乃さんとはたしかに同じ会社ですが、部署が違うので知り合いではありませんでした。出会ったのは別の場所でして」
「別の場所?」
「そうなの。朝の電車が同じでね、夜道が怖くて困っていたところを晴久さんが声をかけてくれたの」
「夜道で……」
「うん。初対面なのに、そのまま家に泊めてくれたんだよ。すごく親切でしょ」
「雪乃っ」
晴久は慌てて雪乃の肩を掴んだ。
「あらま」と顔を赤くする母親の隣で、父親は険しい顔で晴久を凝視している。
ひきつった顔で笑うしかない晴久は、頭の中では言い訳が駆け巡っていた。