寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

「ほほう……初対面で、家に?」

「いや、えっと、それは………」

「晴久くんは娘と付き合ってどれくらいなのかな?」

「……二か月、になります。もうすぐ」

「……二か月?」

晴久を萎縮させるほど低い父親の声がずんと響き、母親は「まあまあお父さん」と肩を叩く。

「それで、雪乃たちはこれからどうする? お夕飯はいつもの『七宝(しっぽう)』を予約してあるから、皆で食べに行きましょ。私たちとずっと一緒じゃ疲れちゃうでしょうから、それまで高杉さんとお出かけしてきたら?」

明るい声で空気は和らぎ、なにも気付かない雪乃だけは「うんそうする」と満面の笑顔で答えた。


「行きましょう、晴久さん」

「う、うん」


一度外したコートとマフラーをふたりとも再度身に付け、雪乃の両親が玄関まで見送る中、くつを履く。

背後に父親の鋭い視線を感じながら、晴久は雪乃の後について「では行ってきます」と外へと出た。
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