寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

◇◇◇◇◇◇◇◇

それから人通りのある商店街に遊びに行き、もう日の暮れた夕方。

雪乃の両親と直接、懐石居酒屋『七宝』で待ち合わせることになっている。

実家から徒歩で十分ほどの距離で、ちょうどこの商店街の先にあるその店に、待ち合わせの午後六時ちょうどに到着した。

「こちらです」

雪乃が手で指し示したのは、のれんの下りた品のよいお店。
石造りの塀に囲まれているが、中には綺麗な木造のお屋敷があり、光がもれている。

「いいところだね」

「家族のお祝い事ではよくここを使うんです。父と母は先に中に入って待っているとさっき連絡がきたので、行きましょう」

雪乃は上機嫌で行き慣れたお店ののれんをくぐり、晴久に手招きをする。

「いらっしゃいませ」という着物姿の女性店員が出迎えてくれ、靴箱に靴を預けてから雪乃が「細川です。先にふたり入っているはずなんですが」と話すと、「いらしてます」と奥へ案内された。

座敷の個室に区切られた店内。店員は入り口から五つ目の屏風を手のひらで示し、雪乃は少し開けて様子をうかがう。
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