寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
晴久は自分の正気の部分を呼び起こして酔いを覚まそうと試み、父に焦点を合わせる。
「雪乃にはもう恋人なんてできないと思っていたから驚いてるんだ……晴久くん、この子は色々あったから……軽い気持ちで付き合っていると苦労するぞ」
「お父さんっ」
想定内の忠告にうなずき、晴久は答える。
「過去のことは多少聞きました。軽い気持ちではありません。真剣にお付き合いしています」
うんうん、と母もうれしそうにうなずく。
「親バカかもしれないけど、雪乃はいい子なんだ。どうか見捨てないでやってくれ、晴久くん……もういい年だし、その……」
「お父さんたら一体なんの心配してるの!」
てっきり娘を嫁にやりたくない、という話かと思っていたのに、まさかの嫁にもらってくれという本音にほろ酔いで怒る雪乃。
隣に座る晴久の顔が見られず、そわそわと反対側に目を泳がせる。