寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

「そんなことか」

「問題はそのきっかけですよ。ストーカーに夜道で後をつけられたことがあって、そのまま、襲われちゃったらしいです」

(……襲われた?)

「あ、襲われたと言っても、未遂だったらしいですよ。でも玄関を閉める前に押し入られて、脅されて。隣の住人が気付いたから助かったんですって」

軽快な小山とは対照的に、ドクン、ドクン、と心臓が鳴り、冷や汗が出る。

「……そ、それで?」

「それから暗闇と男がダメだとか。顔を隠しているのも男避けです。かわいいのにもったいないですよねぇ。そのストーカー男、死刑ですよ死刑。あ、この話マジで秘密ですよ? 皆子は俺だから話したんですから。俺も、口が固ーい課長だから話したんですからね」

晴久は神妙な顔で口を覆った。

小山の「高杉さん聞いてますー?」という問いかけも耳に届かない。
< 66 / 247 >

この作品をシェア

pagetop