寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
うれしさからわずかに動揺した晴久は、天ぷらを蕎麦つゆに浸けたまま箸を止める。
すると小山も、箸を置いた。珍しく、真剣な顔している。
怪訝に思った晴久は「どうした」と首をかしげた。
「俺は正直、皆子ほど細川さんの恋愛話に興味があるわけじゃないんです。こうしてわざわざ話しているのは、細川さんみたいに高杉課長にも恋愛してほしいからですよ」
「なに?」
小山は首のうしろをかきながら、ハハハと小さく笑う。
「余計なお世話かもしれないですが、課長は優しいし、俺の面倒も見てくれるし、絶対恋人のことも大切にするタイプですよね」
晴久は気恥ずかしくなり黙ったが、それには同感だった。
今でこそ女性社員から素っ気なくクールなイメージを持たれているが、彼は本来、面倒見のよいタイプだと自分でも自覚している。
それは恋人に対しても同じで、優しく接することはもちろん、甘やかす傾向にあった。
好き好んで女性に冷たくしているわけではない。
数日前に雪乃につらく接した自分を思いだし、あんなことをせず素直に優しくできたらどんなにいいか、と目を細めた。