寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「男性恐怖症だった細川さんが恋愛を始めたんですから、高杉課長だってできますよ」
「……別にできないわけじゃない」
「でも、顔を隠して出勤したり、朝の時間をずらして電車に乗ったり、ずっとそんなことを続けるわけにはいかないじゃないですか」
(なんで知ってるんだ)
軽くて鈍いくせに意外と観察眼があり、恐れず口にする小山に押され始める。
「誰かに見られているという恐怖を払拭するには、恋人に隣を歩いてもらうしかないと思います」
「小山……」
「……って、まあ、本当に余計なお世話だとは分かってるんですけど。でもやっぱり、もったいないなって」
憎めない笑顔の小山に、晴久は「バカ正直なやつには敵わないな」と顔を上げた。
小山の言い分について真面目に考えてみる。
恋人がそばにいることが恐怖への抑止力になるなど思い付きもしなかった晴久。
今まで誰にも頼らずひとりきりで抱えてきたのは雪乃だけではなく自分もだ、悔しくも小山の言葉でそう気付いたのだった。