白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
目的地は5駅先の駅ビル。

2週間くらい前の新聞広告にリニューアルオープンのチラシが入っていて、近いうちに行ってみたかった場所だった。


それには、前のお出かけよりも長く電車に乗らなきゃならない。

だけど、さっきの練習試合の反省点をあれこれ考える稜ちゃんを眺めていると、時間が経つのがあっという間だった。


「予選で当たったら怖ぇな・・・・」

「あと1ヶ月しかねぇしな」

「念のために対策練らねぇと」


電車の中でずっとブツブツ考え込んでいた稜ちゃん。

その難しい顔がまた魅力的で、わたしはじっと見つめながら“うんうん”と相づちを打ち続けた。


稜ちゃんを悩ませることができる東高に、ちょっぴりやきもちなんかも妬いちゃったり。

次元が全く違う“やきもち”なのに、どうしてだろう。

わたしって、本当におかしなことばかりを考えるよね。


でも、そう考えちゃうのは、稜ちゃんが大好きだからなんだよね。

“恋は人を盲目にする”ってどこかで聞いたことがあるけど、だって、今まさにそれを痛感しているんだから。
 

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