白球と最後の夏~クローバーの約束~
どんなときでも、わたしの中心には稜ちゃんがいる。
嬉しいとき、悲しいとき、幸せなとき、切ないとき・・・・。
場面場面で浮かぶのは、決まって稜ちゃんの顔なんだ。
“これからもきっと稜ちゃんばかりを見ているんだろうな・・・・”
隣で電車に揺られながら、わたしは改めてそう思った。
目的の駅に着くと、大きな駅だったこともあって、どっと人が降りていった。
駅ビルの中に1歩足を踏み入れれば、そこはもう人、人、人。
リニューアルオープンと週末が重なって、真っすぐ歩くのも困難なほどごった返していた。
「すげーな・・・・」
「うん」
入り口の自動ドアをくぐるとき、最初にしたのがそんな会話。
家の近くにスーパーくらいしかないわたしたちには、ここはまるでお祭りさながらの賑わいだった。
そんな中、人ごみを掻き分けるようにして進む稜ちゃんが言う。
「はぐれるなよ? それから、バッグはしっかり手に持っとけ。チャックも閉めねぇと財布盗られるかもしんねぇからな」
「わ・・・・分かった」